理事長

岡 暉


 寺岡記念病院の起源は、昭和21年(1946年)11月故寺岡 正によって開設された内科診療所なので、2016年11月で70周年を迎えます。脳神経外科の開設は1977年4月(寺岡 暉)。現在は263床のケアミックスの一般病院。診療科目は別掲。医療圏:福山・府中2次医療圏、医師会:府中地区医師会。

■ 地域と病院の概要

 広島県には7つの医療圏があり、福山・府中2次医療圏は県の東端に位置し、岡山県に隣接しています。総人口は2015年に約51万人強だが、25年には48万人(2015年比-6%)へと減少し、75歳以上人口は15年に7・1万人から25年は9・4万人へと増加(2015年比+32%)すると予想されています(日医総研ワーキングペーパー2014年度版 より)。この医療圏は地勢的に中核都市福山市を中心とした南部の「都市型医療圏」と、福山市北部と小都市府中市を中心とする「中山間地域型医療圏」とから成っています。中山間地域 は概して、面積は広いが過疎・高齢化が進み、医療資源に乏しいので、医療機関のみならず地域行政は医療の確保に苦労しています。当院のある府中地区はその中山間地域の凡そ人口12万程度の圏域で、高齢化率は30%を超えています。

 寺岡記念病院は、この中山間地域の拠点病院として年間約1500~1700件の救急搬送件数、入院患者の年間延べ人数は約8万7000人、年間手術数約800件に24時間応需体制で応需しています。脳神経外科の症例は救急医療の4割、手術件数の2~3割で、総合医療と専門医療の両立がモットーです。特に脳血管障害(脳卒中)は基本的に全身病であり、また2025年に向けて症例が激増する「老年期脳神経外科」においては総合医療とスローメディシンへの取組みが必要です。スローメディシン とは、生活と生命の質に重点を置いた、出来るだけ侵襲の少ない支える医療です。超急性期・急性期・回復期を一体的にケアできるチーム医療を徹底しています。コメディカルスタッフ、特にリハビリテーションスタッフが充実しており(PT20、OT 11 、ST8、合計39名)、認定心理士、歯科衛生士など急性期後ケア体制の総合化を進めています。

 医師研修プログラムの基本コンセプトは総合的臨床能力を備えた専門医の養成です。脳神経外科については、東京大学脳神経外科と鳥取大学脳神経外科の専門分化領域指導医の支援を受けており、専門医療と同時に全人的医療を提供できる医師を養成することが寺岡記念病院の目標です。その延長上に、超高齢社会においてQOLを多様なアプローチによって改善するという新たな総合医療的脳神経外科診療が実現されると考えています。




■ 地域包括ケア時代と医療法改正後の21世紀型脳神経外科診療

在宅等住み慣れた地域の中で患者等の生活を支え、病気と共存しながらQOLの維持・向上を地域全体で総合的に目指す地域包括ケアシステムの構築が求められる時代です。このような地域社会のニーズに応えるため、筋力や活力の衰えたフレイル (脆弱)な高齢者(病前・病中・病後を問わず)に対応する社会的共通資本 としての医療が求められています。脳神経外科もこの趨勢と無縁ではない。これに応える21世紀型の脳神経外科診療の課題に取り組むことが必要であり、脳神経外科医は専門医であると同時に広角的な視野を備えなければなりません。社会医療法人陽正会は、専門医療と総合医療とがコミュニティを支える「多世代交流施設ローカルコモンズ」を整備し、多職種連携による医療と介護と生活支援にも取り組んでいます。

 他方、新医療法において、医療事故調査制度が創設されました。この法律では、医療事故死の原因調査を医療機関自らが調査分析すると同時に、原因不明の事案の調査分析を行う第三者機関の創設が定められました。法律を待つまでもなく医療機関は安全・安心な医療・介護の提供に自ら努めなければなりません。

 寺岡記念病院は超高齢社会に対応し、かつ安全で良質な脳神経外科医療を提供する総合施設を目指しています。


診療科目:内科、外科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、リハビリテーション科、リウマチ科、形成外科、神経内科、循環器内科:腎センター(透析医療)

理念:トータル&シームレスケア
   全人的で切れ目のない医療提供の推進

  1. 日医総研ワーキングペーパー2014年度版、高橋 泰、江口成美
  2. 中山間地域は、農林統計における地域区分によれば平野の外縁部から山間地に該当する。日本の国土の73%が中山間地域とされている。
  3. スローメディシンのすすめ、デニス・マッカラ著、三谷武司訳、寺岡 暉・寺岡朋子監訳、勁草者、2013
  4. フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント、一般社団法人日本老年医学会、2014
  5. 鵜沢弘文、社会的共通資本 岩波新書696、岩波書店、2000