和昌会貞本病院 副院長

脳神経外科

松原 一郎


 脳卒中・認知症は、年をとればとるほど増える疾患です。一旦病気になると運動障害・物忘れなどの障害を残し、介護が必要となり、寝たきりになることも多く、介護保険では要介護4、5の半数を占める疾患です。

 わが国では、2015年に「団塊の世代」が65才以上となり、さらに2050年には高齢者人口が38.8%の超高齢化社会を迎えるとされます。それに伴い、脳卒中・認知症が激増することが予測されます。

 平成28年度、当院に入院された方も、75才以上の後期高齢者が半数以上を占めるようになりました。その多くは、脳卒中や認知症関連の疾患であり、治療の甲斐なく重い障害を残し、介護が必要になる方が多くみられました。

 一旦病気になると、取り返しがつかなくなることが多い病気ですので発症予防、再発予防が大事です。脳卒中・認知症にならないためには、その危険因子である糖尿病・高血圧症・高脂血症などの治療・予防が大事であり、さらに禁煙・運動・食生活などの生活習慣の改善が重要と言われております。

 運動に関しては、有酸素運動が有用と言われております。ゆっくりと十分に息を吸い、はきながら、全身の筋肉を使って行う運動です。ウォーキング、ジョギング、ラジオ体操、自転車こぎ、水泳などがこれにあたります。ウォーキングなら、約1万歩、1 日朝夕の2 回、15~30分ずつ取り組んでみましょう。

 しかしながら、当院では、脊椎・腰・膝などの骨・関節の病気を抱え、足腰に力が入らないお年寄や、脳卒中の後遺症で車いすの方が多く来院されます。このような方には、一日1 万歩のウォーキングは無理な相談です。そこで、小生とリハビリスタッフが協力し、お年寄りでも、歩行が十分でない方でも、座ってできる運動を考案しました。全身の関節を動かすことで、筋力アップを試み、寝たきりにならないようにと考えております。今後は、病院のロビーで、ビデオにあわせて、患者様みんなで楽しみながら体操を行うことで、この病気に打ち勝ちたいと考えております。

【さだもと体操】

 ■はじめに

 高齢になると体力や筋力が低下し、認知面も低下し、歩行も不安定になりやすくなります。

 全ての身体の関節を動かすことで、体力や筋力の低下を予防し、歩行能力の維持が期待できると考えます。また、楽しく体操を行う事で、認知面の低下を予防することが期待できると考え、この体操を作成しました。

 この体操は筋力の低下した高齢者にも安全に行えるように、座位での体操内容になっております。

  



  1. ウォーミングアップで深呼吸を3 回します。【すってはいて、すってはいて、すってはいて】







  1. 両肘を伸ばして、腕を上に挙げて下さい。そして手のひらを後ろに向けて指を伸ばしてひねる様にします。その際に、腰が反らない様に注意して下さい。
    【 12345、22345、32345、42345】
  1. 胸の前で手を閉じて身体に引き寄せます。次に両手を前に伸ばして手を開きます。
    【12345、22345、32345、42345】






  1. 肘を伸ばして身体の前に出します。手を開いたり、閉じたりします。10 回ずつ行います。
    【 12345、678910】
  1. 胴の筋肉を鍛えます。腕を組んで身体を左右にひねります。左から行います。
    【12345、22345、32345、42345】





  1. 両肩を開いて腕を上げる運動をします。
    【 12345、22345、32345、42345】
  1. 両手を頭の後ろに回して組んでください。肘を内側から外側に開く運動をします。首はデリケートな部分なので過剰な力は必要ありません。
    【 12345、22345、32345、42345】





  1. 足を真っすぐに向けて座って下さい。腰に両手を当てて、骨盤を起こして下さい。左右交互に腿上げを行います。同時に手を振っていきましょう。左から行います。
    【 12345、22345、32345、42345】





  1. つま先を上にして膝を伸ばします。そのまま5 秒保ちます。左右交互に行います。左から行います。
    【 12345、22345、32345、42345】







  1. 足首の運動をします。片方の膝を伸ばしてつま先を上げたり下げたりします。5 回ずつ行います。左から行います。
    【 12345678910】





  1. 両方のかかとを同時に上げます。10 回ずつ行います。【 12345678910】



  1. 深呼吸を3 回します。【 すってはいて、すってはいて、すってはいて】

 以上で体操を終わります。体操をした後は十分に水分を摂ってください。


 ■おわりに

 20歳を過ぎると筋力低下が起こり、60歳くらいから特に筋力低下すると言われています。寝たきりにならないためには、筋力の維持向上が必要です。しかし、急につけた筋力は運動を行わないとすぐに低下すると言われています。長く継続した体操を行い、低下しにくい筋肉を作るとともに心身に刺激を入れていくことが大切です。心身に刺激を入れていくことが認知面の低下の予防に繋がると考えられますので体操を継続して行っていって下さい。